child

2週間ほど地元に帰っていた。今は成田空港から東京駅に向かうバスでこれを書いている。

ふかふかの巣のような街で毎日誰かに甘えていた。夢のような時間だった。思い出すだけでもうっとりとしてしまう。


会う人みんなが東京は大変やろ、とか、立派になったねとか声を掛けてくれた。それを聞く度にあなたの方が立派だと思った。

4月から会社で働くため、今人生で最後の長期休みを送っていることになる。立場的にはまだ学生である。

僕はまだ汗水垂らして働くという経験がない。もちろんバイトでしんどいシチュエーションに遭遇したことは何度もあるが、毎日同じ時間に出勤して、同じようなことを繰り返しやって、一月やっていけるだけの給料をもらうということは自分からは程遠い生活だと思っていた。

しかし、それを当たり前のようにこなしている人たちが軽んじることなくしっかり僕と話をしてくれる。居心地の悪さも多少感じた。僕は何もしてない、と。

勝手に大人になった気でいたが、ただ東京でぬくぬくと暮らす子どもだったのだ。


母親からこのままずっと学生がいいか?と冗談に問われたが、そんなの嫌だ。自分の生活を送りたい。

そういう思いもありながら、市役所へ転出届を出しにいった。難しい言葉が並ぶ書類。出せば、次の窓口へと誘導される。

なんとか転出はできたが、次は東京で転入届をやらなければならない。そっちの方が不安だ。

不安が積み重なる。でも4月からはそんな不安が当たり前の生活になるかもしれない。


あんなに楽しい帰省だったのに、こんな内向的な文章を書き連ねてしまった。楽しかったこともまた書きたい。さて、現実へ戻るとするか。